「資産運用EXPO」というイベントがある。日本最大級の投資商品の展示会である。
このイベント、特にこれから資産運用を志す方は興味本位でも絶対に参加してはいけない。
資産運用EXPOとは何か
この記事を読んでくれている人には絶対に参加してほしくない。だから本当はリンクすら貼りたくないのだが引用にはルールがあるから仕方ない。
公式サイトには内容について以下のように紹介されている。
東京で春夏・大阪で年3回開催。不動産、株式、保険、金など、あらゆる投資商品が一堂に出展します!資産運用の初心者から上級者まで、幅広い方々が毎年来場。60本以上のセミナー(投資トレンドや投資最新手法など)を同時開催!
(引用:資産運用 EXPO)
この文章を読んで「なんか怪しい…」と感じた方は、マネーリテラシーがしっかり身についていると胸を張っていただきたい。
その直感、正解です。
資産運用EXPOの本質
結論から言おう。
このイベントの本質は「何も知らない投資素人にゴミのような投資商品を売りつけようと、手ぐすね引いて業者がブースで待ち構えているアリ地獄」である。
いやいや、さすがに中にはいい商品もあるだろ!と言いたい気持ちはよく分かる。
しかしあなたはその「いい商品」を、山のようなゴミの中から見抜ける自信があるだろうか。私はない。
出展社検索からどのような会社が出展しているかわかるので、実例を挙げよう。
- 投資用マンションの紹介
- 民泊投資コンサル
- 暗号資産取引
- コインパーキング投資
- 太陽光発電投資
- デリバティブ投資
- 農業投資
- フィリピン株スクール
上からざっと挙げてみただけでこれである。断じてウソは書いていないので気になる人は見に行ってみてほしい。
ここまで来ると見事としか言いようがない。これを見て胡散臭いと思わない人は逆にすごい。君はその道をひたすら進め。
特別講演と資産運用セミナー
資産運用EXPOでは「特別講演」と「資産運用セミナー」という2種類のセミナーが開催される。いずれも無料である。まぁこの手のイベントにはつきものだ。
- 特別講演 → 界隈の著名人や有識者による講演
- 資産運用セミナー → 出展企業の担当者によるゴミ商品PRコーナー
ざっくりではあるがこの認識で間違いない。
実は私自身、特別講演はちょっと聴いてみたいなと思うものも結構あった。
年収200万おじさんこと森永卓郎氏が登壇していたり、米国株投資や積み立てNISAの説明、新NISAの活用法など内容もそれなりに手堅いし面白そうである。
だがあの空間自体に居たくないので参加することはないだろう。
資産運用セミナーはよほどその会社の商品に関心があって、もっと深く知りたいという人は参加したらいいと思う。私にはその価値があると思えるものは見つけられなかったが。
ここまでボロクソにこき下ろす理由
実はこの資産運用EXPO、以前は他業種の展示会と同時開催されていたのだが、その他業種の展示会に私が出展社側で参加していたことがある。
主催社が同じなため、大まかな出展までの流れや内部のカラクリもわかっているというわけである。実際、商品PRのセミナーにも担当者として登壇したことがある。
(※なお、私が参加していた展示会はちゃんとした「モノ」を紹介・提案するイベントだったことは念のため付け加えておく。)
その休憩時間に資産運用EXPOも覗いてみたことがあり、そのときの記憶が鮮烈だったのでこうして記事にしたわけだ。
私は別に投資の専門家ではない、ただの素人である。そんな自分でも怪しさや胡散臭さしか感じない空間だった。
貴重な資産をどう運用しようか悩んでいる人が「投資の勉強になるかな~」なんて気軽に行こうものなら、まさに鴨がネギをしょって来るようなものだ。
手堅い資産運用の方法も、良い投資・悪い投資の見分け方も、ネットや本屋に山ほど転がっている。わざわざこのイベントに足を運ぶ必要はないと断言していい。
良い投資商品は黙っていても売れる。VTIやVOOを見ればわかるだろう。
ダメな商品は放っておいたら売れない。だから高い出展料をわざわざ払ってPRしているのだ、ということを忘れてはならない。
まとめ
あらためて整理する。
×投資より投機に近い商品を扱う出展企業が多すぎる
×手堅く資産運用していきたいという人に合う商品が皆無
私は以上の理由から、まともな資産形成を志す人は資産運用EXPOには行ってはいけないと考えている。
それでも行くか行かないかはあなた次第である。
最後に、「お金周りのことをこれから学びたい」という人にオススメできる本を1冊ご紹介しておく。
一般的なマネーリテラシーを身につけたいならこれを読めば十分。節約・貯蓄・資産形成まで簡潔にまとまっていてわかりやすい。
私も手元において時々読み返している。自分の方向性がズレていないかを確認でき軌道修正ができる、私にとってバイブルのような本である。